ストーリーの流れ — まず曲全体をつかむ
この曲は、Nasが子供たちに順番に「人生の授業」をしていく構成です。3つのバースがそれぞれ別のテーマを持っているので、先に流れを押さえておくと、一語ずつ拾うときに「今どの授業の話か」が見えて迷いません。
まずフック。子供たちの合唱が「I know I can, be what I wanna be, if I work hard at it(頑張れば、なりたい自分になれる)」と歌う。これが曲全体を貫く"おまじない"であり、各バースのあとに必ず戻ってくる芯になっています。
Verse 1は、ドラッグの話。歌手を夢見た美しい女性が、付き合う相手を間違えてヘロインに溺れ、若くして心身を壊していく。「付き合う仲間を選べ(watch the company you keep)」という、具体的で生々しい警告だ。Verse 2は、まだ10代なのに背伸びして大人の世界に入ろうとする少女・少年への忠告。「歳相応に振る舞え(act your age)、時間をかけて成長しろ」と諭す。
そしてVerse 3で視点が一気に歴史へ飛ぶ。「この国(アメリカ)に連れてこられる前、俺たちは王であり女王だった」。奴隷制以前のアフリカ、クシュ王国やティンブクトゥの学問の都を引き合いに、黒人の子供たちに誇りを取り戻させようとする。最後は「顔を上げろ、少年、お前は王だ(you're a king)」「いつか花嫁になる少女よ、お前は女王だ」と、一人ひとりを王と女王に戻して締めくくる。やさしい語り口のまま、最後に大きな物語へ着地させる構成に、初めて聴いたとき素直に胸を打たれました。
※本ページは批評・教育目的で、解説に必要な範囲の断片のみを引用しています。全歌詞の対訳は掲載していません。