この記事の見どころ
Yeah, nigga, we're still fuckin' wit' you
Still waters run deep
Still Snoop Dogg and D.R.E.
イェー、ダチらよ、俺たちはまだお前らとガッツリ繋がってるぜ
静かな水ほど深い(能ある鷹は爪を隠す)
相変わらずスヌープ・ドッグとドクター・ドレーのコンビだ
'99, nigga, guess who's back
Still, still doin' that shit, huh, Dre?
Oh for sho'
1999年だぜ、誰が帰ってきたか分かるだろ?
今も変わらず、ヤバいことをやり続けてるんだろ、ドレー?
あぁ、もちろんだ
★ 「Dre fell off」への反撃
It's still 1992年の大ヒット曲「Fuck Wit Dre Day」へのセルフオマージュ。Dreがシーンを支配する時代・日を意味する nigga, AK-47(アサルトライフル)。ギャングスタ・ラップで武力・圧倒的攻撃力の象徴として頻出する旧ソ連製自動小銃 nigga
Though I've grown a lot, can't keep it home a lot
今でも「ドレーの日」だぜ、AK-47のように強力だ
俺もずいぶん大人になったが、家にばかり引きこもっちゃいられない
'Cause when I frequent the spots that I'm known to rock
You hear the bass from the truck when I'm on the block
なぜなら、俺がぶちかますことで有名なクラブや溜まり場に顔を出せば
俺が街のブロックにいる時は、車のトランクから轟くベース音が聞こえるはずだ
Ladies they pay homage, but haters say Dre fell off
How? Nigga, my last album was ①極上の大麻の品種名 ②1992年のDreのデビューアルバム名。音楽的に「最高品質」を意味する語としてアルバムタイトルになった
女たちは俺に敬意を払ってすり寄るが、ヘイター共は「ドレーは終わった」と叩きやがる
どうやったらそうなるんだ?俺の前作はあの『The Chronic』だぜ?
They wanna know if he still got it
They say rap's changed, they wanna know how I feel about it
(If you ain't up on thangs)
あいつらは、俺がまだ才能(凄み)を持ってるか知りたいんだろ
「ラップシーンは変わった」と奴らは言い、俺がそれをどう思ってるか知りたがってる
(お前らが最近の事情を分かってないなら教えてやる)
★ 「Still」の連打——変わらぬアイデンティティ
Dr. Dre is the name, I'm ahead of my game
Still puffin' my 大麻の葉、あるいは大麻を巻くためのタバコの葉(ブラント)を指すスラング , still fuck with the beats
Still not lovin' police
ドクター・ドレーって名前だ、俺は常に自分のゲーム(ラップ界)の先を行ってる
今でもハッパを吸い、今でも極上のビートをいじり倒してる
今でも警察(サツ)のことは大嫌いなままだ
Still rock my 裾を折り返し(cuff)、センタープレス(crease)を入れたDickiesなどのカーキパンツ。チカーノや黒人ギャング層に愛された伝統的LAファッション
Still got love for the streets, reppin' ロサンゼルスの市外局番。Snoop・Nate Dogg・Warren Gが結成した初期グループ名でもあり、西海岸フッドのレペゼンの象徴
Still the beats bang, still doin' my thing
Since I left ain't too much changed, still
今でも裾を折り返してセンタープレスを入れたカーキパンツを履きこなしてる
今でもストリートへの愛を持ってるぜ、213(LA)を背負ってな
今でもビートは激しく鳴り響き、今でも俺のやり方を貫いてる
俺がシーンを離れてから、大して何も変わっちゃいない、今でもな
I'm representin' for them gangstas all across the world
(Still) Hittin' them corners in them ローライダー(Lowrider)車両のLAストリートスラング。ハイドロリクスで車体を跳ねさせながら走るカスタムカーの総称 , girl
Still takin' my time to perfect the beat
And I still got love for the streets
It's the D-R-E
俺は世界中のギャングスタたちを代表(レペゼン)してるぜ
(今でも)ローライダーに乗って、ハイドロで跳ねながらコーナーを曲がってるのさ、なぁ姉ちゃん
今でも時間をかけて完璧なビートを追求してる
そして今でもストリートへの愛を忘れない
それがD-R-Eだ
Since the last time you heard from me I lost some friends
Well, hell, me and Snoop, we ローライダーのハイドロリクスを操作して車体を沈めながら走ること。転じて「仲間とつるんでドライブする」ことのLAスラング again
お前らが最後に俺の曲を聴いた時から、何人かのダチを失った
だがクソッ、俺とスヌープでまたハイドロ車を沈ませて(クルージングして)るぜ
Kept my ear to the streets, signed Eminem
He's triple platinum, doin' 50 a week
ストリートの声に耳を傾け続け、エミネムと契約したんだ
あいつはトリプルプラチナ(300万枚)を売り上げ、週に5万枚ペースで売れ続けてる
Still, I stay close to the heat
And even when I was close to defeat, I rose to my feet
My life's like a soundtrack I wrote to the beat
それでも、俺は常に熱い銃(またはヒット曲の熱狂)のそばにいる
そして敗北スレスレの窮地に追い込まれた時でさえ、俺は自分の足で立ち上がった
俺の人生は、俺自身がビートに合わせて書いたサウンドトラックみたいなもんだ
Treat rap like カリフォルニア産の高品質なマリファナ。医療用大麻の先進地カリフォルニアで栽培された上質品 , I smoke 'til I sleep
Wake up in the A.M., compose a beat
I bring the fire 'til you're soakin' in your seat
ラップをカリフォルニアの極上ウィードみたいに扱い、眠るまで吸い(やり)続けるのさ
朝起きて、ビートを組み立てる
お前らがシートで汗だくになるまで、熱いファイア(ヤバい曲)を浴びせ回るぜ
★ World Class Wreckin' Cruへの言及
It's not a fluke, it's been tried, I'm the truth
Since "Turn Out the Lights" from the World Class Wreckin' Cru
これはマグレじゃない、実証済みのことだ、俺は最前線の兵士(真実)さ
World Class Wreckin' Cruの「Turn Out the Lights」の時代からずっとやってるんだ
I'm still at it, Aftermath mathematics
In the home of drive-bys and ak-matics
LAの黒人・ヒスパニック系コミュニティにおける重要な経済圏であるフリーマーケット。若者たちの交流の場でカセットテープや衣類が売買された , THCの樹脂が豊富で触ると指がベタつくほど上質なマリファナを指すSnoop Dogg特有の擬音語的スラング , and bad traffic
I dip through, then I get skin, D-R-E
俺は今でもやり続けてる、これがAftermathの計算(必勝法)だ
ドライブバイ(車からの銃撃)とオートマチックAKが日常の街(コンプトン)でな
スワップミート(フリマ)、ベタつく極上ウィード、そして最悪な交通渋滞
そこをすり抜けて、女の肌に触れるのさ、D-R-Eだ
It ain't nothin' but more hot shit
Another classic CD for y'all to vibe with
Whether you're coolin' on the corner with your fly bitch
Laid back in the shack, play this track
これからもヤバい曲(ホット・シット)を生み出すだけだ
お前らがノリノリになれる、もう一枚のクラシックCDをな
イケてるビッチと一緒に街角でチルしていようが
ボロ屋でリラックスしていようが、このトラックをかけな
★ 「エース」の帰還
I'll break your neck, damn near put your face in your lap
Niggas try to be the king, but the ace is back
(So if you ain't up on thangs)
Dr. Dre be the name, still runnin' the game
お前の首をへし折り、顔が膝に付くくらいブチのめしてやる
雑魚どもがキングになろうと必死だが、最強のエースが帰ってきたぜ
(だから、最近の事情を分かってない奴には教えとくぜ)
名前はドクター・ドレー、今でもこのゲーム(ヒップホップ)を支配してる
Still, got it wrapped like a mummy
Still ain't trippin', love to see young blacks get money
Spend time out the hood, take they moms out the hood
Hit my boys off with jobs, no more livin' hard
今でも、ミイラみたいにきっちり包み込んで(完全にコントロールして)るぜ
今でも取り乱したりはしない。若い黒人たちが金を稼いで成功するのを見るのが大好きなんだ
フッド(スラム街)を抜け出す時間を持ち、彼らの母親をフッドから救い出す
地元のダチに仕事(フックアップ)を与え、もう過酷な生活はさせない
Barbeques every day, drivin' fancy cars
Still gon' get mine regardless
毎日バーベキューを楽しみ、高級車を乗り回す
何があろうと、俺は自分の取り分はきっちり頂くけどな
★ Snoop Doggのコーダ
Like that, right back up in ya mothafuckin' ass
'95 plus four pennies, add that shit up
D-R-E right back up on top of thangs
こんな感じだ、お前らのクソッタレなケツにまた入り込んでやったぜ(完全復活だ)
95に4ペニー(4)を足してみろ、計算しな
D-R-Eが再び頂点に君臨したってことだ
Smoke some wit' your Dogg
No stress, no seeds, no stems, no sticks!
Some of that real Snoop特有の擬音語スラング。THC樹脂が豊富で指がベタつくほど上質・新鮮なマリファナ
Ooh wee, put it in the air
お前のDogg(スヌープ)と一緒に一服しようぜ
ストレスは無しだ。種も、茎も、枝も入ってない!(純度100%だ)
本物のベッタベタな極上ウィードをな
ウー・ウィー!煙を宙に吐き出せ
ローライダー・カルチャー
第二次世界大戦後にチカーノ(メキシコ系アメリカ人)コミュニティで生まれたローライダー文化は、LAの黒人コミュニティにも浸透し、G-Funkと不可分な存在となった。ハイドロリクス(油圧装置)で車体を極限まで下げ、コーナーで跳ねさせる「Hittin' them corners」は、この楽曲のMVでも1964年型シボレー・インパラが披露する。この文化は名古屋や東京の日本人愛好家にも広がり、毎月第1土曜日の夜には渋谷にローライダーが集結するシーンが続いている。
東西の壁を超えたゴーストライティング
東西ヒップホップ抗争が2PacとThe Notorious B.I.G.の死で幕を閉じた後、西海岸の復活を告げたこの曲の歌詞(Dreのヴァースもフックも全て)を執筆したのは、ニューヨーク出身のJay-Zだった。Snoop自身の証言によれば、Jay-Zはビートを聴いてからわずか30分でリリックを書き上げたという。西海岸の復活アンセムが東海岸の帝王のペンで生まれたという歴史的パラドックスは、ヒップホップ最高のドラマのひとつ。
キーワード解説
制作秘話 01
ヒップホップ史上最も有名なピアノリフのひとつは、古いレコードからのサンプリングではない。当時The Rootsのキーボーディストとして活動し、後に稀代のヒットメーカーとなるScott Storchによるオリジナル演奏だ。DreからKorg TritonやMoog MiniMoogといった機材環境の中で「ピアノのループが欲しい」と要求されたStorchが、スタッカートを効かせた独特の切迫感とレイドバックが同居するあのリフを弾き出した。Dreは1990年代にP-Funkのレコードをサンプリングする手法から、セッションミュージシャンを起用してフレーズを再演奏させる手法へと進化していた。
制作秘話 02
本作のビートの中核には名機AKAI MPC3000が使われている。SSL 4000 Eコンソールを通してミキシングされた重低音は「Dreサウンド」と称される究極にクリアかつパンチのある音質を生み出した。Dreのミキシング哲学「Rule of 3(目立つ音の要素を同時に3つまでに絞る)」がこの曲にも適用されている。イントロで「ピアノリフ」「キックドラム」「スネア/ハイハット」の3要素を確立し、それを崩さないことで異常な音の隙間と中毒性が生まれる。
制作秘話 03
2022年2月13日、第56回スーパーボウル・ハーフタイムショーの大トリとしてDr. DreとSnoop Doggがこの曲を演奏。Eminem・Mary J. Blige・Kendrick Lamar・50 Centという錚々たる面々との共演で、世界最大のステージで披露されたことにより、リリースから23年後の2022年にBillboard Hot 100の23位に再チャートイン。四半世紀を超えても「ヒップホップの象徴」として機能し続けることを証明した。
後世への影響
「変わらない」ことを武器に変えたこの曲の哲学は、現代音楽のプロデューサーたちに深く影響を与えた。Scott Storchはこの後、Chris Brown・Beyoncé・50 Centなど数十のNo.1ヒットを手掛けるスーパープロデューサーになる。DreのRule of 3(音を削ぎ落とす哲学)はミニマルなトラップビートの先駆けとも言える。そして東(Jay-Z)と西(Dre・Snoop)の帝王が手を組んだことで、東西ヒップホップ対立の時代に終止符が打たれ、「ヒップホップはひとつ」という新しい時代が幕を開けた。
Dr. Dre
Compton, California · 1984–
N.W.Aからソロへ。G-Funkを発明しウェストコーストサウンドを世界に広めた。Eminem、Snoop Dogg、50 Cent、Kendrick Lamarを発掘したプロデューサーとしても伝説的。