ストーリーの流れ — まず曲全体をつかむ
「Dead Presidents(紙幣に刷られた故大統領=札束)」というタイトルが何を指すのか、まず曲全体の流れでつかんでおきましょう。輪郭が見えていると、次の「学ぶ表現」で一語一語を掘るときに、その言葉が曲のどこに置かれているか立体的に見えてくる。
まずNasのサンプルで始まる。
「I'm out for presidents to represent me」。大統領(=紙幣)が俺を代表してくれればいい、要するに「金さえあれば」。これがイントロで繰り返される。
自分のデビュー曲を、Nasの声で始める。リスペクトとも挑発とも取れる、なかなか食えない始め方です。
Verse 1は、ブルックリンのマーシー団地で過ごしたハスラー時代の話。ドラッグの商売を「conglomerate(複合企業)」と呼んで、密告者には気をつけろと説きながら、Breitlingの時計とCristalのシャンパンで景気よくフレックスしてみせる。でも金に支配されてる感じも同居してる。
「Alzheimer's / rhymers」「NARC'in / bargain / pardoned」と韻が次々連打されていくので、音だけ追っても気持ちいい。
Verse 2は説教から入る。「金持ちになりたいって言うだけなら誰でもできる、動けよ」。
それから、高級車に乗ってるくせに保釈金も払えない偽者、マリファナは吸えるけど銃は向けられない腰抜け、そういう連中をひたすら辛口でこき下ろしていく。
最後はRICO法で摘発、車も没収。「ついこの間まで全部うまくいってたのに」と転落して終わる。
金を追いかけたら、今度は金のほうに使い捨てにされる。この皮肉が曲全体に低く流れてます。
※本ページは批評・教育目的で、解説に必要な範囲の断片のみを引用しています。全歌詞の対訳は掲載していません。