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Real Hip Hop — Das EFX 和訳・スラング解説

アーティスト
Das EFX
リリース年
1995
プロデューサー
DJ Premier
収録アルバム
Hold It Down
エリア
NY
BPM
93
サンプル元
Norman Connors "The Creator Has a Master Plan" (1972) / Joe Tex "Papa Was Too" (1966) / Kellogg's "L'eggo My Eggo" ジングル

この記事の見どころ

  1. 01 Das EFXの真骨頂=固有名詞をぶつける「パンチライン直喩」のオンパレード(Pac-Man・Rodney・Webster・RuPaul…)
  2. 02 fat/wack・bring the ruckus・true to the streets・hold it down——90sアンダーグラウンドの生きた口語を「学ぶ表現」単位で解説(PV頭出しリンク付き)
  3. 03 DJ Premierが刻むブーンバップ+Eggoジングルのスクラッチ。「l'eggo my Eggo」の同音遊びが音と歌詞でリンク

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解説

■"たとえ"の英語を浴びる一曲

Das EFX(ダス・エフェックス)は、Krazy Drayz(クレイジー・ドレイズ)と Skoob(スクーブ)の2人組。ニュージャージー州 Teaneck(ティーネック)出身で、EPMDに見出されてデビューした、90年代屈指のパンチライン職人です。この「Real Hip-Hop」(1995) のいちばんの聴きどころは、なんといっても固有名詞をぶつける"たとえ(直喩)"の連打

Pac-Man、Rodney Dangerfield、Webster、Carl Lewis、Jack Dempsey……アメリカの有名人・キャラ・商品名を like ~(〜みたいに)でつないで、自慢とジョークを一行ごとに決めてきます。

つまりこの曲は、英語の simile(直喩)と、その背後にあるアメリカの文化常識(cultural literacy)を、まとめて浴びられる教材なんです。

固有名詞が分かるほど面白さが跳ね上がります。だからこそ、一個ずつ解きほぐす価値がある。

■「これがリアルだ」という宣言

Das EFXといえば、デビュー期の「iggedy(イゲディ)」スタイル(単語のあいだに「-iggedy」「-iddip」という無意味な音を挟み込む、早口の呪文のような独特の節回し)で一世を風靡しました。この曲でも niggedy-knowbriggedy-bringsmiggedy-smoke と、その癖はしっかり健在。

ただしトラックは、DJ Premier(DJプレミア)が手がけた硬質な boom bap。ドラムの『ブン(キック)・バッ(スネア)』が前面に出た、90年代NYの硬派なヒップホップのビート様式 (boom bap)。商業的な"きらびやかなラップ"が台頭しつつあった1995年に、アンダーグラウンドから「これが本物(real)のヒップホップだ」と言い切るタイトルそのものが、ひとつの態度表明になっています。

遊び心たっぷりのパンチラインで、しかし芯は硬派。その二枚腰がこの曲の魅力です。

ストーリーの流れ — まず曲全体をつかむ

この曲に物語はありません。2人が交互に「俺たちが本物だ」を、これでもかと固有名詞のたとえで証明していく自慢合戦です。先に全体の組み立てだけ押さえておくと、一個ずつのパンチラインに集中できます。

軸になるのは、何度も戻ってくるフック。「To the hiddip the hop ya don't stop / Das EFX with the real hip-hop」と、彼ら名物の"iggedy"節で「止まるな、これがリアルだ」と連呼します。この呪文みたいなフックが、曲全体の背骨です。

あいだに挟まる6つの短いバースを、Krazy Drayz と Skoob が交互に担当。中身はほぼ全部、「俺は〇〇だ、△△みたいにな」という形のパンチラインの連打です。

ラッパーをPac-Manのように食う、敬意を払われない様をRodney Dangerfieldにたとえる、自分のスタイルをWebster(辞書)のように"well defined"だと言う。アメリカの有名人や商品名を次々に引いて、自慢とジョークを同時に決めていきます。

下水道(the sewer)から這い上がってきた、というDas EFX独特の自己イメージも繰り返し出てきます。締めのバースでは「ライムをLegoみたいに組む、だから l'eggo my Eggo」と、同音の言葉遊びで自分のスキルを誇示してフィニッシュ。

物語ではなく、言葉の瞬発力だけで全部持っていきます。初めて歌詞を追ったとき、たとえの手数の多さに素直に笑ってしまいました。

※本ページは批評・教育目的で、解説に必要な範囲の断片のみを引用しています。全歌詞の対訳は掲載していません。

学ぶ表現 — 直喩・スラング・言葉遊び

各見出しは「この曲から学べる英語表現」。各ユニットはまず上に英語の用例(1〜2行)を置いてあります。先に英語を音で追い、行のどこが学習対象かを確かめてから下の日本語解説に進むと、英語が苦手でも置いていかれません。

To the hiddip the hop — Das EFX名物「iggedy」スタイル

★ 文化(フロウの様式)
Das EFX(Chorus) ≈0:05

To the hiddip the hop ya don't stop
Das EFX with the real hip-hop

ヒディップ・ザ・ホップ、止まんなよ/Das EFX、これがリアル・ヒップホップ

▶ 曲の冒頭と各バースの合間に戻ってくるフック。学習対象は上の行の崩した音。

まず上の行の hiddip the hop。これは普通の英語ではありません。本来 hip-hop と言うところに、Das EFX名物の 「iggedy(イゲディ)」スタイル(単語に無意味な音を挟み込んで崩す節回し)がかかっています。

意味より音とリズムの遊びが目的で、彼らはこれを曲中で niggedy-know(=know)、briggedy-bring(=bring)のように多用します。後半の ya don't stop(止まるな)は、ヒップホップ草創期からのお決まりの掛け声(ya don't stop)。

つまりこのフックは、古典的な定番フレーズを、自分たちの崩し方で塗り替えてみせた一節なんです。聞き取れなくて当然なので、まずは"音で崩している"という事実だけ掴めればOK。

the flow is Fat like Joe — 直喩+スラング fat

★ 直喩/スラング
Krazy Drayz(Verse 1) ≈0:26

In case you didn't know the flow is Fat like Joe

知らなかったなら言っとくが、俺のフロウはFat、Joeみたいにな

▶ Verse 1の入り、Krazy Drayzが自分のフロウを売り込む件。

ここで like ~(〜みたいに)を使った simile。likeやasを使って『AはBみたいだ』と例える比喩。ヒップホップのパンチラインの基本構文 (simile)が登場します。鍵は Fat。スラングの この曲では「俺のフロウはfat(最高)だ」と自分のスキルを誇る褒め言葉。直後のlike Joeでラッパー Fat Joe の名前と掛けている (=phat)は「太い」ではなく「最高にイケてる・分厚くて良い」という褒め言葉。

そこに like Joe を付けることで、当時人気のラッパー Fat Joe(ファット・ジョー)の名前と掛けています。「俺のフロウはfat(最高)だ、しかもFat Joe並みにな」という二重の意味。

固有名詞ひとつで、スラングの自慢とラッパーへの目配せを同時にやってのけます。Das EFX流パンチラインの基本形です。In case you didn't know(知らないといけないから言うが)も会話で使える前置き表現。

語法 — どう使うか ▼

fat / phat は90年代の褒め言葉で「イケてる・素晴らしい」。発音は fat と同じ。a phat beat(最高のビート)。同時期の dope(ヤバい)、fresh(新鮮でかっこいい)と同じ仲間。

in case (you didn't know)(〜の場合に備えて/知らないといけないから)は、情報を付け足すときの定番。In case you didn't know, I'm the boss(言っとくけど、ボスは俺だ)のように、念押しのニュアンスで使う。

eat a rapper like I'm Pac Man — キャラに重ねる自慢

★ 直喩(パンチライン)
Krazy Drayz(Verse 1) ≈0:33

You're wack man, I eat a rapper like I'm Pac Man

お前はwack(ダサい)、俺はラッパーを食う、Pac-Manみたいにな

▶ Verse 1、相手のMCをけなしつつ自分を誇示する件。

典型的なパンチライン直喩です。まず この曲では相手のMCを一言でこき下ろす攻撃語。直前で学んだ fat の対義語として一緒に押さえると効率がいい もう一度タップで詳細 → =「ダサい・下手・イケてない」(反対は dope や fat)。相手をこき下ろす最頻出スラングで、すぐ上で学んだ fat の対義語として一緒に覚えると効率がいい。

そして eat a rapper like I'm Pac Man=「ラッパーを食ってやる、まるでパックマンのように」。ゲームのパックマンが点(敵)を次々食べる動きに、自分が他のラッパーを"食う=打ち負かす"様子を重ねています。

eat(食う)= 圧倒するというスラング的な動詞の使い方も含め、誰もが知るキャラ一つで情景を一発で立ち上げます。これがアメリカの文化常識を使ったパンチラインの作法です。wack man / Pac Man で韻も踏んでいます。

Reign Supreme like a Cutlass — 車名でダブルミーニング

★ 言葉遊び(固有名詞)
Skoob(Verse 2) ≈0:58

We's the roughest dream team, Reign Supreme like a Cutlass

最強のドリームチーム、CutlassみたいにReign Supreme(君臨)

▶ Verse 2、Skoobがクルーの強さを誇示する件。学習対象は行の後半。

後半の Reign Supreme like a Cutlass が仕掛け。reign supreme は「(他を圧して)君臨する・頂点に立つ」という慣用句です。ところがここに like a Cutlass が付きます。

Oldsmobile Cutlass Supreme(カトラス・スプリーム)というアメリカの定番車種があり、その車名の "Supreme" と、慣用句の "supreme(最高の)" を掛けているわけです。「俺たちは君臨する(reign supreme)、カトラス・スプリームのようにな」。抽象的な慣用句を、具体的な車名へスッと着地させる二段構え。

文頭の We'sWe are/We're のAAVE的な崩しで、文法より語感を優先する歌詞ならではの形です。

語法 — どう使うか ▼

reign supreme は「(分野・場で)他を圧して君臨する」という慣用句。Their team reigns supreme in the league(彼らのチームはリーグで頂点に君臨している)。supreme(最高・至高の)が核で、ここでは車名 Cutlass Supreme との語呂合わせに転用されています。

in my Dangerfield like Rodney — コメディアンで「敬意ゼロ」

★ 直喩(文化常識)
Skoob(Verse 3) ≈1:42

You're in my Dangerfield like Rodney

お前は俺のDangerfield状態、Rodneyみたいにな(誰にも敬意を払われない)

▶ Verse 3、Skoobが相手を見下す件。固有名詞の背景知識が要るパンチライン。

これは背景知識がないと意味が取れない、上級のパンチラインです。Rodney Dangerfield(ロドニー・デンジャーフィールド)は、アメリカの伝説的コメディアン。彼の決め台詞は「I don't get no respect(俺は全然リスペクトされない)」で、"敬意を払われない人"の代名詞そのものなんです。

だから「You're in my Dangerfield like Rodney」は、「お前はロドニーみたいに、俺の前ではまるで敬意を払われない存在だ」という見下し。固有名詞がそのまま"概念"として機能する好例で、アメリカの大衆文化を知っているほど一行が立体的に効いてきます。逆に言えば、こういう一行を解きほぐすこと自体が、生きた文化を学ぶことになります。

stayin' true to the streets — 「下水道」から貫く忠誠

★ イディオム/自己像
Skoob(Verse 3) ≈1:48

Straight from the sewer, stayin' true to the streets

下水道(sewer)からそのまま、ストリートに忠実なまま

▶ Verse 3の締め、Skoobが自分たちの立ち位置を宣言する件。

イディオム stay true to ~=「〜に忠実であり続ける・初心を貫く」。stay true to yourself(自分らしさを貫く)の形で日常でも使う定番表現です。ここでは true to the streets(ストリート=地元・育ちに忠実)。

面白いのは the sewer(下水道)という言葉。Das EFXは初期から自分たちを「下水道から這い上がってきた連中」というイメージで語ってきました(汚くて泥臭い場所=アンダーグラウンドの象徴)。

成功してメインストリームに出ても、出自であるストリートには嘘をつきません。商業化への抵抗という、この曲のタイトル「Real Hip-Hop」の精神そのものが、この一行にぎゅっと詰まっています。

語法 — どう使うか ▼

stay true to ~ は「〜に忠実でいる・裏切らない」。stay true to your roots(自分のルーツを大切にし続ける)、stay true to yourself(自分を曲げない)のように、信念・出自・人に対して使う。true to ~ 単体でも「〜に忠実な」の形容詞句として機能します。

we got to Hold It Down — 「守り抜く」のイディオム

★ イディオム
Krazy Drayz(Verse 4) ≈2:10

I swear, we got to Hold It Down e'ry year

誓うよ、俺たちは毎年(e'ry year)Hold It Down(守り抜く)

▶ Verse 4、Krazy Drayzがクルーの決意を述べる件。これはアルバム名そのもの。

注目は この曲では「毎年リアルなヒップホップを守り抜く」という決意の核。アルバム『Hold It Down』のタイトルそのものでもある もう一度タップで詳細 → 。これはこのアルバムのタイトルでもあり、イディオムとしては「(場・砦を)守り抜く・しっかり維持する・留守を任される」という意味です。誰かが出かけるとき「hold it down while I'm gone(俺がいない間、ここを頼む)」のように使います。

ヒップホップでは「自分の地元・クルー・ジャンルの本質を守り続ける」という気概を表す言葉として頻出します。ここでは「毎年(every year)、俺たちはリアルなヒップホップを守り抜く」という宣言。

e'ryevery の崩し、got to(=have to/〜しなければ)も会話頻出。アルバム全体のテーマがこの一語に集約されています。

語法 — どう使うか ▼

hold it down は「持ち場を守る・しっかりやる・(不在の人の代わりに)取り仕切る」。Hold it down for me(あとは頼んだ)、holding down the fort(砦=持ち場を守る)とも近い表現です。ヒップホップでは「地元やシーンを代表して頑張る・本質を守る」の意でよく使われます。

well defined like Webster — 「辞書」で二重に効かせる

★ 言葉遊び(固有名詞)
Skoob(Verse 5) ≈2:38

But this style of mine is well defined like Webster

だが俺のスタイルはwell defined(明確に定義されてる)、Websterみたいにな

▶ Verse 5、Skoobが自分のスタイルの確かさを誇る件。

well defined=「輪郭がはっきりした・明確に定義された」という形容。そこに like Webster を掛けてきます。Webster(ウェブスター)はアメリカで最も有名な辞書「Merriam-Webster」のこと。

辞書は言葉を define(定義)するものですから、「俺のスタイルは well defined(明確に定義されている)、まるで辞書(Webster)のように」と、define という動詞の二つの意味、「輪郭が明確」と「辞書が語義を定める」を一本の線で結んでいます。抽象的な自慢(スタイルが明確だ)を、誰もが知る固有名詞(辞書)に着地させる、Das EFXお得意の手口です。

★ 聴きどころ

connect my rhymes like Lego, l'eggo my Eggo — 同音三段重ね

Krazy Drayz(Verse 6) ≈3:05

Well I connect my rhymes like Lego, so l'eggo my Eggo

俺はライムをLegoみたいに組む、だからl'eggo my Eggo(俺のエゴ/エゴ・ワッフルを離せ)

▶ 最終バース、Krazy Drayzが同音語を畳みかけて締める件。サンプルとも連動。

この曲いちばんの言葉遊びです。Lego(レゴ)→ l'eggo(=let go/離せ)→ Eggo(エゴ・ワッフル)と、よく似た音を3連続で畳みかけます。「ライムをレゴ(Lego)のようにカチッと組み立てる、だから l'eggo my Eggo」。

この "L'eggo my Eggo!" は、アメリカの冷凍ワッフル「Eggo」のCMの超有名なキャッチコピー(「私のエゴ(ワッフル)を取らないで!」)。さらに面白いのは、DJ Premierがこの曲のサンプルに実際にEggoのジングルをスクラッチで仕込んでいることです。つまり歌詞の言葉遊びと、トラックの音ネタが同じ「Eggo」でリンクしているわけです。音の偶然を芸にまで持っていく、聴くたびに感心してしまう一行だと思います。

語法 — どう使うか ▼

let go (of ~) は「(〜を)手放す・放す」。Let go of my arm(腕を放して)。歌詞の l'eggo はこれを発音どおりに崩した綴りで、商品名 Eggo と韻を踏ませている。英語の言葉遊びは、こうした同音・近音(homophone)を重ねて作られることが非常に多いんです。

文化的背景

パンチライン文化

固有名詞が"武器"になるアメリカのラップ

この曲が示すように、アメリカのラップでは固有名詞(有名人・キャラ・商品名)を直喩でぶつけるのが、パンチラインの王道です。聞き手がその名前の背景を知っている前提で、一行に意味を詰め込みます。

だから英語ネイティブにとっては一瞬で笑える一方、文化背景を共有しない学習者には"暗号"のように難しく感じられます。逆に言えば、こうした固有名詞を一つずつ調べていく作業は、辞書には載らない生きたアメリカ文化(cultural literacy)を学ぶ、またとない入口になります。

キーワード早見表

この曲で学んだ表現の整理

fat / phat 最高にイケてる・分厚くて良い(90s褒め言葉)
wack ダサい・下手(fat/dopeの反対)
reign supreme 他を圧して君臨する(慣用句)
stay true to ~ 〜に忠実であり続ける・初心を貫く
hold it down 持ち場・本質を守り抜く(アルバム名)
like ~ (simile) 〜みたいに。固有名詞を引くパンチラインの基本構文

サンプル・制作の裏側

サンプル元

ジャズ・ソウル・CMジングルの三層 — DJ Premierの仕事

トラックを組んだのは DJ Premier。土台には、ジャズドラマー Norman Connors「The Creator Has a Master Plan」(1972) や、ソウルの Joe Tex「Papa Was Too」(1966) といった渋い素材が敷かれています(WhoSampled確認)。

そして極めつけが、冷凍ワッフルのCMジングル「L'eggo My Eggo」のスクラッチ。歌詞の「l'eggo my Eggo」という言葉遊びと、トラックに刻まれたEggoの音ネタが同じ素材でリンクしています。

ジャズもソウルも、テレビCMの断片すらも分け隔てなく"楽器"にしてしまう、Premierのコラージュ感覚が出た一曲です。

スタイルの変化

「iggedy」を残しつつ、硬派へ

Das EFXは、デビュー作『Dead Serious』(1992) の "iggedy" スタイルで爆発的に売れ、フォロワーを大量に生みました。だが模倣が増えると、彼らは次第にその癖を抑えめにして、より硬派でストレートなフロウへと舵を切っていきます。

この「Real Hip-Hop」は、ちょうどその過渡期の一曲。名物の崩し節を残しながらも、DJ Premierの硬質なビートに乗せて"本物"を名乗る。遊びと硬派さのバランスが、絶妙なところに着地しています。

評価とその後の影響

位置づけ

『Hold It Down』のリードシングル

「Real Hip-Hop」は、アルバム『Hold It Down』(1995) のリードシングル。商業的なヒットを狙うより、硬派なヘッズ(コアなファン)に向けて"本物"を提示する性格の強い一曲でした。

Pete RockやPMDによるリミックスも作られ、DJ Premier版とあわせて、90sアンダーグラウンドの愛聴曲として長く支持されています。タイトルどおり、流行に流されず"リアル"を掲げる姿勢が、この曲を時代を超えて聴かせるものにしています。

学習素材としての価値

"たとえ"と"文化常識"のトレーニング

この曲は、英語の simile(直喩)がどう機能するかを、これでもかと実演してくれます。like ~ ひとつで、自慢・侮辱・ジョークを一行に詰め込む技術。そして、それを解くために必要なアメリカの大衆文化の知識

リスニングの難度は高めですが、固有名詞を一つずつ調べていくと、英語と文化が同時に体に入ってきます。手強いぶん、噛むほど味が出る教材です。

まとめ

  • 「Real Hip-Hop」は、固有名詞を like ~ でぶつける「パンチライン直喩」の見本市。simileと文化常識をまとめて学べます。
  • fat/wack・reign supreme・stay true to ~・hold it down など、90sアンダーグラウンドの生きた口語とイディオムが拾えます。
  • 「Lego / l'eggo / Eggo」の同音三段重ねは、歌詞の言葉遊びとDJ Premierのサンプル(Eggoジングル)が連動した聴きどころ。
  • 名物「iggedy」スタイルを残しつつ硬派なPremierビートに乗る、商業化への「これが本物だ」という態度表明の一曲。

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背景を読む

制作の裏側・時代背景・評価の詳細は、各コラムで掘り下げている。

アーティストについて

Das EFX

Brooklyn, New York / Teaneck, New Jersey · 1988–

SkoobとKrazy Drayzによるラップデュオ。1990年代初頭の「iggedy」スタイルのファスト・ラップで一世を風靡し、イーストコースト・ヒップホップに多大な影響を与えた。

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