Party and Bullshit 和訳・意味・スラング解説 | The Notorious B.I.G.

アーティスト
The Notorious B.I.G.
プロデューサー
Easy Mo Bee
収録アルバム
Ready to Die
エリア
NY
BPM
86

この記事の見どころ

  1. 01 ハンバーガーを食べながら頭の中だけで3ヴァースを構築し一発録りした天才の証明
  2. 02 The Last Poetsの政治的批判を享楽の全肯定に反転——2018年連邦裁判所がフェアユース認定
  3. 03 「Can't we all get along?」LA暴動の悲痛な叫びをナンパの口実にしたビギーのブラックユーモア

元ネタ

Intro · サンプル(Doug E. Fresh & Slick Rick)

Here we go, go, go, c'mon
Here we go, go, c'mon
Here we go, go,
Here we go, c'mon
Now here we go

さあ行くぜ、行こうぜ、行こう、カモン
さあ行くぜ、行こう、カモン
さあ行くぜ、行こう
さあ行くぜ、カモン
さあ、ここから行くぜ

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イントロで繰り返されるこの声は、1985年のヒップホップ・クラシックであるDoug E. Fresh and the Get Fresh Crew(Slick Rick客演)の「The Show」からの引用。黄金期のオールドスクール・ヒップホップへのリスペクトを示すと同時に、これから始まる「パーティー」の幕開けを告げるファンファーレとして機能している。

Verse 1 · Biggie

★ 武器インフレーションとパラノイア

I was a terror since the public school era
Bathroom passes, cutting classes, squeezing asses
Smoking 葉巻の中身を抜いてマリファナを詰めて巻いたもの。ブラントマスターズ等の銘柄が人気だった was a daily routine, since thirteen
A chubby nigga on the scene (Yeah...)
I used to have the .32口径の拳銃。1990年代のストリートで自衛用として流通した安価な小型銃 and the .22口径の拳銃。非常に小型で隠匿性が高く、クラブやパーティーに持ち込む定番の隠し武器 in my フード付きの極厚ダウンジャケット。防寒着であり内側に武器を隠しやすいため密売人たちの定番ファッションとなった
Now I got the MAC-10(イングラム)。高い連射能力を持つコンパクトなサブマシンガン。ストリートの暴力エスカレーションの象徴 in my knapsack (That's right... that's right...)
Lounging, black – smoking sacks up in アキュラ(Acura)。ホンダが北米展開する高級車ブランド。当時ドラッグ・ディーラーたちが富の象徴として好んで乗り回した and Sidekicks
With my sidekicks (A-heh), rocking fly kicks
Honeys want to chat – But all we wanna know is
"Where the party at?! And can I bring my 銃全般を指す汎用的なストリート・スラング。語源は19世紀のガトリング銃(Gatling gun)に由来する ?"
If not, I hope I don't get shot
Better throw my vest on my chest, 'cause niggas is a mess
It don't take nothin' but frontin' for me to start something
Bugging and bucking at niggas like I was duck hunting
Dumbing out, just me and my crew
'Cause all we wanna do is...

公立学校の時代から、俺は恐怖の的(悪ガキ)だった
トイレのパスを悪用して、授業をサボり、女のケツを揉みしだく
マリファナ(ブラント)を吸うのは13歳からの日課だった
シーンに現れたぽっちゃりした黒人(イェー…)
昔はダウンジャケット(バブルグース)の中に32口径と22口径を忍ばせてた
今じゃナップサックの中にMAC-10(サブマシンガン)を入れてるぜ(その通りだ…その通り…)
くつろぎながら、ブラザー ― アキュラやサイドキック(車)の中で葉っぱを吸い上げる
仲間のサイドキックたちと一緒に、イケてるスニーカーを履いてな
可愛い女たちは俺たちと話したがるが ― 俺たちが知りたいのはこれだけだ
「パーティーはどこだ!? 俺の銃(ガト)を持ち込んでもいいか?」ってな
もしダメなら、撃たれないことを祈るばかりだ
胸に防弾チョッキ(ベスト)を着ておいた方がいい、連中はマジで厄介だからな
誰かが少しでも粋がれば(frontin')、俺はすぐに事を荒立てるぜ
アヒル撃ちでもしてるかのように、イカれて野郎どもを撃ちまくる
理性を吹っ飛ばして、俺とクルーたちだけでな
なぜなら、俺たちがやりたいことってのはただ一つ…

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ビギーは冒頭から「terror/era」「passes/classes/asses」という内部押韻(Internal Rhyme)を連打し、自身が筋金入りの不良であったバックグラウンドをリズミカルに提示する。「自虚的なぽっちゃり」という描写を織り交ぜながらも、持ち歩く武器が「tré-deuce→MAC」へと大型化する描写は、ストリートでの暴力のエスカレーションを示している。「パーティーはどこだ? 銃は持ち込めるか?」という行は、純粋な享楽と武装を解けば殺されるかもしれないという死への恐怖が同居するクラック時代の若者のパラノイアを完璧に活写している。

Chorus · 群衆 & サンプル

Party and bullshit
And party and bullshit and party and bullshit
And party and bullshit and party and bullshit
And party and bullshit and party and bullshit
And party and bullshit and party and bullshit

パーティーと、くだらねえバカ騒ぎ
パーティーとバカ騒ぎ、パーティーとバカ騒ぎ
パーティーとバカ騒ぎ、パーティーとバカ騒ぎ
パーティーとバカ騒ぎ、パーティーとバカ騒ぎ
パーティーとバカ騒ぎ、パーティーとバカ騒ぎ

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このフレーズは1968年結成の黒人急進派ポエトリー・グループ、The Last Poetsの1970年作「When the Revolution Comes」からの引用。原曲では「革命の時代に黒人たちはパーティーとバカ騒ぎばかりして戦おうとしない」という政治的批判だった。ビギーはその文脈を剥奪し、「現実の過酷さを忘れるための刹那的な享楽の全肯定」として完全に意味を反転させた。この「言葉のハック」は2018年に米連邦裁判所がフェアユースと判断した歴史的なサンプリングの転換事例となっている。

Verse 2 · Biggie

★ 東海岸オーバードーザー宣言

Hugs from the honeys, pound from the ガラの悪い連中、ストリートのタフなならず者たち。元々は肉体労働者を指すが、ヒップホップではタフさを誇示する不良を指す
Seen my man Cey that I knew from the projects
Said he had beef, asked me if I had my piece
Sure do, two .22s in my shoes (No question)
Holler if you need me, love, I'm in the house
Roam and stroll, see what the honeys is about
フランスの高級シャンパン「モエ・エ・シャンドン」。ストリートでの成功を示すステータスシンボルとして90年代ヒップホップに多数登場 popping, ho hopping
Ain't no stopping Big Poppa, I'm a Bad Boy (That's right)
Niggas wanna front? Who got your back? (Biggie!)
Niggas wanna flex? Who got the gat? (Biggie!)
It ain't hard to tell I'm the East Coast overdoser
Nigga, you scared, you're supposed to
Nigga, I toast ya, put fear in your heart
Fuck up the party before it even start
Pissy drunk off the Henny and stuff
Or some コンシャスながらも武闘派として知られたラップ・グループ。1992年ヒット曲「Punks Jump Up to Get Beat Down」への直接的な引用 shit, beating down punks!

可愛い女たちからのハグ、荒くれ者たちとは拳を突き合わせる
プロジェクト(公営団地)時代から知ってるダチのCeyを見かけた
揉め事(ビーフ)があるらしく、俺に弾(銃)を持ってるかと聞いてきた
もちろんだ、靴の中に2丁の22口径を隠してるぜ(間違いない)
必要なら声をかけな、ブラザー、俺はここにいるぜ
歩き回り、うろついて、女たちが何をしてるか物色する
モエ(シャンパン)を開け、女から女へと飛び回る
ビッグ・ポッパを止められる奴はいない、俺はバッド・ボーイだからな(その通りだ)
粋がってくる奴らがいるか? 誰がバックについてる?(ビギー!)
見栄を張る奴らがいるか? 誰が銃を持ってる?(ビギー!)
俺が東海岸のオーバードーザー(過剰摂取させる者)だってことは簡単に分かるだろ
怯えてるな、当然だぜ
野郎、俺はお前をこんがり焼いて、お前の心に恐怖を植え付ける
パーティーが始まる前に、ぶち壊してやるよ
ヘネシーやなんかを飲んで、ションベン漏らすほど酔っ払ってな
もしくは「Brand Nubian(パンクスを叩きのめす)」みたいなノリでな!

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「Big Poppa」(自身の代表的な愛称)と「Bad Boy」(Puff Daddyが立ち上げた所属レーベル名)を巧みに織り交ぜ、セルフ・ブランディングを確立している。「It ain't hard to tell I'm the East Coast overdoser」は、チャートを完全に支配していた西海岸Gファンク勢力に対し、「東海岸のヒップホップが息を吹き返す」という力強い宣言として機能するパンチライン。Brand Nubianの引用は、酔っ払うだけでなく乱闘がいつ勃発してもおかしくないという暴力的緊張感を鮮やかに演出している。

Verse 3 & Interlude · Biggie

★ 映画的急転直下——乱闘の勃発

Bitches in the back looking righteous
In a tight dress, I think I might just
Hit her with a little アメリカの大学における入門・基礎講座の番号「101」を用いた表現。ビギーが女に教えるのが「銃の扱い方」と「酒の飲み方」であるという自虐的なアイロニー : how to tote a gun
And have fun with Jamaican rum
Conversations, blunts in rotation
My man Big Jacques got the オーストリア製の半自動拳銃。プラスチック部品が多く軽量で信頼性が高いため警察・ギャング双方に広く普及した in his waist, and
We're smoking, drinking, got the hooker thinking
If money smell bad, then this nigga Biggie stinking
Is it my charm? I got the hookers eating out my palm
She grabbed my arm and said, "Let's leave calm"
I'm hitting skins again
Rolled up another blunt, bought a Heineken
Niggas start to look out, a kid got choked out
Blows was thrown and a fucking fight broke out
(Music stops — sounds of people yelling, glass breaking)
Yo, chill, man, chill!

奥にいる女たちは最高にイカしてる
タイトなドレスを着てやがる、俺はあの子に
「ビギー入門(101)」をかましてやろうか:銃の持ち方と
ジャマイカン・ラム酒での楽しみ方をな
会話を楽しみ、マリファナ(ブラント)を回し飲みする
ダチのBig Jacquesは腰にグロック(拳銃)を差していて
俺たちは吸って、飲んで、娼婦たちにこう思わせる
「もし金から悪臭がするなら、このビギーって男は相当臭いわ(=大金持ちね)」とな
これが俺の魅力か? 女たちは俺の手のひらから餌を食うように従順だ
彼女は俺の腕を掴み、「静かに抜け出しましょうよ」と言った
俺はまた女を抱く(hitting skins)んだ
新しいブラントを巻き、ハイネケンを買った
すると野郎どもが騒ぎ出した、あるガキが首を絞め落とされ
殴り合いが始まり、クソみたいな乱闘が勃発した
(音楽が完全に停止し、怒号、ガラスの割れる音が響き渡る)
オイ、落ち着けよ、お前ら、落ち着けって!

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楽曲の映画的クライマックス。女を口説き、酒を飲み、金持ちであることを誇示する典型的なパーティーの甘い情景描写から、突如としてバイオレンスへと急転直下する。「If money smell bad, then this nigga Biggie stinking」は「俺は腐るほど金を持っている」という巧妙なメタファー。そしてEasy Mo Beeのビートが突如としてプツリと止まり、リアルな乱闘の環境音に切り替わる瞬間——この演出は聴覚だけで一本の短編映画を見せられているかのような錯覚を起こさせる、ビギーの映画監督的ストーリーテリングの証明である。

Outro · Biggie

1992年LA暴動の引き金となった警察暴力事件の被害者ロドニー・キングがメディアに向けて語った悲痛な叫びの完全な引用。ビギーはこれをナンパのための口実に使うというブラック・ジョーク
So I can put hickies on her chest like Little Shawn
Get her pissy drunk off of Dom Pérignon
And it's on, and I'm gone
That's that
And party and bullshit (Junior M.A.F.I.A. likes that)
And party and bullshit (Uptown likes that)
And party and bullshit (Bad Boy likes that)
And party and bullshit (Brooklyn Crew likes that)
(Repeats until fade out)

なあ、みんな仲良くできないのかよ?
そうすりゃ俺は、Little Shawnみたいに彼女の胸にキスマークを付けられるのに
ドン・ペリニヨンを飲ませて、べろべろに酔わせるんだ
そしたらおっ始まる、そして俺は消えるぜ
それでおしまいだ
だから、パーティーとバカ騒ぎさ(ジュニア・マフィアはこれが好きだぜ)
パーティーとバカ騒ぎ(アップタウンもこれが好きだぜ)
パーティーとバカ騒ぎ(バッド・ボーイもこれが好きだぜ)
パーティーとバカ騒ぎ(ブルックリン・クルーもこれが好きだぜ)
(フェードアウトまで繰り返し)

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アウトロで放たれる「Can't we just all get along?」——LA暴動の被害者ロドニー・キングの悲痛な訴えを、「喧嘩なんかやめて、俺を女と遊ばせてくれよ」という極めて個人的で低俗な欲求のための口実として使用するこのブラック・ジョークは、ビギーの不遜でありながらも卓越した知的なウィットを示している。最後はJunior M.A.F.I.A.、Uptown Records、Bad Boy Recordsをシャウトアウトし、自身のファミリーとコミュニティの強固な連帯を誇示して楽曲は幕を閉じる。

文化的背景

ベッドフォード・スタイベサント

クラック・エピデミック期のブルックリンとビギーの少年期

クリストファー・ウォレスが育ったBed-Stuy(ベッドフォード・スタイベサント)は、クラック・コカインの蔓延と高い失業率により犯罪率が歴史的ピークに達していた。ビギーは10代でノースカロライナ州での麻薬密売に手を染め、17歳で逮捕・9ヶ月服役。出所後に制作したデモテープがBig Daddy KaneのDJ、Mister Ceeの耳に留まり、ヒップホップ誌『The Source』の「Unsigned Hype」コーナーで紹介されたことがすべての始まりだった。

東西抗争の前夜

Dr. Dre「The Chronic」が変えたヒップホップの勢力図

1991年、ニューヨーク・サウス・ブロンクスのTim Dogが「Fuck Compton」をリリースし東西抗争の最初の一撃を放った。翌1992年、Dr. Dreが『The Chronic』をリリースして以来、Gファンクを中心とする西海岸のアーティストがメインストリームを席巻。ヒップホップ発祥の地であるニューヨーク(東海岸)は深刻な停滞感に包まれていた。Puff Daddyは東海岸の復権を賭け、「ブーンバップ(Boom Bap)」サウンドを極めたビギーに白羽の矢を立てた。「Party and Bullshit」は単なるデビュー曲を超え、「東海岸はまだ死んでいない」という宣言でもあった。

キーワード解説

楽曲を読み解く重要スラング・用語

Bubblegoose フード付きの極厚ダウンジャケット。防寒着でありながら内側に武器を隠しやすく、ハスラーたちの定番ファッション
Sidekicks スズキSUV「エスクード」の北米名(Suzuki Sidekick)と「仲間・相棒」のダブルミーニング。ビギー特有の高度な言葉遊び
East Coast overdoser 当時チャートを支配する西海岸への東海岸からの宣戦布告。Nas「It Ain't Hard to Tell」の有名フレーズのパロディでもある
Biggie 101 米大学の入門講座「101」番号から。銃の扱い方を教えるというブラック・アイロニー
Can't we all get along? 1992年LA暴動被害者ロドニー・キングの悲痛な叫びを、ナンパの口実に使うビギーのブラック・ユーモア

バージョン違い

バージョン
特徴
意義
Album Version (Original)
Easy Mo Bee制作。ESG「UFO」のサイレン音が不穏にループする完全無修正版
ブルックリンの夜の緊張感を体現したブーンバップの完成形。コアなヒップホップ・ファンの基準版
Lord Finesse Remix
D.I.T.C.の総帥Lord Finesseが手掛けたジャジーで洗練されたリミックス
アンダーグラウンドHIPHOPファンの間で「オリジナルを凌ぐ」と評価されることもある名ミックス
Puffy's Dirty Remix
Puff Daddy自身によるクラブ向けミックスダウン。ベースラインが強調された版
フロアでのパーティー・アンセムとしての機能性を最大化したクラブ仕様
Clean Version
ラジオ放送用。過激な表現にスクラッチ音や無音処理を施したバージョン
当時のラジオでのオンエアを可能にし、ビギーのビジビリティを広げた商業的妥協の産物

制作の裏側

制作秘話 01

ハンバーガーを食べながら頭の中だけで構築した3ヴァース

Easy Mo Beeの回想によれば、スタジオに入ったビギーは歌詞を紙に書き留めることを一切せず、ただ大量のハンバーガーを注文して食べ続けていたという。Mo Beeが「いつラップの録音を始めるんだ?」と何度も急かしたが、ビギーは「大丈夫だ、任せておけ」と落ち着き払っていた。食事が終わるとふらりとボーカル・ブースに入り、頭の中で構築した3つの長いヴァースを一度のテイクで完璧にスピットしてみせた。Mo Beeは「ずっとふざけているだけだと思っていたのに、圧倒された。彼は天才だった」と語っている。

制作秘話 02

Puff Daddyが施したソングライティングの「整形手術」

当時のビギーは圧倒的なラップの技術を持っていたものの、「楽曲(Song)」としての構成力には欠けていた。彼がスピットした内容は60小節に及ぶ切れ目のないラップだった。これを見事に「商品」として昇華させたのがPuff Daddyである。Puffyはビギーに対して「どこでフック(サビ)を入れるべきか」「どのようにヴァースを分割してキャッチーな展開を作るか」というソングライティングの基礎構造を指導した。このコラボレーションにより、ストリートの生々しいラップが、ラジオやクラブで機能するヒット曲へと変貌を遂げた。

制作秘話 03

The Last Poets訴訟——フェアユースとして認められた歴史的判決

2016年、The Last Poetsの創設メンバーAbiodun Oyewoleがビギーの遺産管理財団やPuff Daddyらを相手取り2,400万ドルの損害賠償訴訟を起こした。Oyewoleの怒りの核心は「言葉の文脈の冒涜」——原曲における「party and bullshit」は革命への無関心を批判する言葉だったが、ビギーはそれを享楽の全肯定に転用した、というものだった。しかし2018年、連邦地方裁判所はビギーの楽曲が「高度に変容的(Transformative)」であるとして訴えを棄却。「言葉の意味をハックし全く逆の価値観として再定義する」というヒップホップ特有の手法が法的に保護される正当な芸術表現として認められた歴史的瞬間となった。

評価と足跡

指標
記録
意義
セールス実績
約50万枚(ゴールド相当)
プロモーション・シングルでありながらアンダーグラウンドの特大スマッシュ・ヒットを記録。翌年の「Ready to Die」への重要な布石
デビュー作の布石
「Ready to Die」初週50万枚
本作でストリート・プロップスを確立したビギーは翌1994年に4×プラチナのデビューアルバムをリリース
著作権訴訟(2016-18)
2,400万ドル訴訟を棄却
「変容的サンプリング」がフェアユースと認定される歴史的判例。ヒップホップのサンプリング文化を法的に守った
後世の影響
Rita Ora他が二次サンプリング
「How We Do (Party)」等が本楽曲のフレーズを使用。ビギーが再定義した「享楽のアンセム」の文脈が現代ポップスにも継承
ヒップホップ史的評価
東海岸復権の象徴的デビュー作
西海岸Gファンクが席巻する時代に投下された「東海岸の反撃宣言」として音楽史に刻まれた

後世への影響

短命と永遠——24歳のレジェンドが残したもの

The Notorious B.I.G.は1997年3月9日、ロサンゼルスにおいてドライブバイ・シューティングの凶弾に倒れ、24歳でこの世を去った。しかし「Party and Bullshit」に刻み込まれた——圧倒的なフロウ、映画監督的なストーリーテリング、そして「絶望的な環境の中にあっても決して踊ることをやめない」という強靭なストリートの精神性——は、ヒップホップというカルチャーが存在し続ける限り、永遠に色褪せることはない。

  • Eminem ビギーの内部押韻(Internal Rhyme)技法を直接継承し、独自のスタイルへと昇華させた最大の受益者の一人。
  • Jay-Z 「同じBlock出身の兄弟」として楽曲や精神性を直接継承。「Can't Knock the Hustle」以降のBad Boyサウンドの展開に強い影響。
  • Kendrick Lamar 「m.A.A.d city」等における環境音を交えたストーリーテリングはビギーの映画的手法の直系の継承。

まとめ

  • Where the party at?! And can I bring my gat?——享楽と死の恐怖が隣り合わせのゲットー・パラノイアを映像化したデビュー曲。
  • ハンバーガーを食べながら頭の中で構築した3ヴァースを一発録りしたという伝説の制作秘話。ビギーの天才性の証明。
  • 1993年のデビュー・シングルながら、翌年の傑作「Ready to Die」の完全な雛形となった東海岸復権の狼煙。

関連記事(内部リンク)

Producer: Easy Mo Bee / Puff Daddy · Sample: ESG "UFO" · Album: Who's the Man? OST (1993)

アーティストについて

The Notorious B.I.G.

Brooklyn, New York · 1992–1997

ブルックリン出身のクリストファー・ウォレス(1972–1997)。ストリートの細部描写と高度なフロウで東海岸ルネサンスを牽引。1997年3月に銃撃により死去。

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