この記事の見どころ
Never do what they do, what they do, what they do
Never do what they do, what they do, what they do
奴らがやっているようなことは、絶対にやるな、絶対に
奴らの真似だけは、絶対にするな、絶対に
★ 圧倒的な押韻と商業主義への怒り
Yo, yo
Lost generation, fast-paced nation
World population confront they frustration
The principles of true hip-hop have been forsaken
It's all contractual and about money-making
Pretend-to-be cats don't seem to know they limitation
Exact replication and false representation
You wanna be a man? Then stand your own
To emcee requires skills, I demand some shown
I let the frauds keep fronting and roam like a cellular phone
Far from home, giving crowds what they wanting
Official hip-hop consumption, The Fifth thumpin'
Keeping your party jumping with an original something
Yo, I dedicate this to the one-dimensional
No imagination, excuse for perpetration
My man came over and said, "Yo, we thought we heard you"
Joke's on you; you heard a biting-ass crew, but, um
Yo, yo
失われた世代、加速し続ける国家
世界中の人々が、自らのフラストレーションと直面している
真のHIPHOPの原則は、完全に見捨てられてしまった
今や全ては契約上の縛りと、金儲けのためだけのものだ
ギャングやアーティストのフリをした奴らは、自分の限界すら分かっていないらしい
あるのは完全なるコピー(模倣)と、偽りの自己表現(フェイク)ばかりだ
一人前の男になりたいなら、自分の足で立て
MCであるためにはスキルが必要だ、お前の実力を見せてみろと俺は要求する
詐欺師どもには虚勢を張らせておけばいい、遠く離れた携帯電話の電波のように
自分のルーツから離れてふらふらとさまよいながら、群衆が欲しがる安っぽいものを与え続ければいい
これが公式なHIPHOPの消費だ、The Fifth(The Roots)がビートを叩き出す
俺たちは「完全なオリジナル」で、お前らのパーティーを揺らし続ける
Yo、この曲を「一次元(ペラペラ)な奴ら」に捧げよう
想像力は皆無、ヒップホップを汚すための言い訳ばかり
ダチが俺のところに来てこう言ったんだ「Yo、ラジオでお前らの新曲が流れてるのを聞いたぜ」
笑わせるな、お前が聞いたのは俺たちのスタイルをパクった連中だよ、だけどな…
Never do what they do, what they do, what they do
Never do what they do, what they do, what they do
奴らがやっているようなことは、絶対にやるな、絶対に
奴らの真似だけは、絶対にするな、絶対に
★ プロフェッショナルの覚悟と孤高の宣言
Thin is the line that run between love and hatred
The game is ill-natured, it's nothing sacred
Aiyyo, it's funny what I see some rap niggas do to make it
A few'll blow up, or go as far as they can take it
My nine-to-five is just to hit ya, get the party live
I'm Black Thought, used to rap for sport
Now the rhyme saying, rent paying life support
I take it very seriously within this industry
It's various crews that try to touch me
But I come with the beautiful things, and I bless the track plushly
Around the world crowds love me from doing tours
Recipient of applause from all of you and yours
Creator of original sounds that's in the stores
You take home to absorb and sweat it out your pores
Now, who can stop the music running through these veins?
Infinitely go against the grain
That's why my motto's to
愛と憎しみの間にある境界線は、あまりにも細い
このラップ・ゲームは悪意に満ちていて、神聖なものなど何一つ残っていない
Aiyyo、成功(メイク・イット)するために一部のラッパーがやってる事を見ると笑えるぜ
ほんの一握りがブレイクし、自分たちの行けるところまで行くんだろうな
俺の9時5時の仕事は、お前らの心に響かせ、パーティーを熱狂させることだけだ
俺はブラック・ソート、かつてはスポーツ(遊び)でラップをしていた
だが今では、韻を踏むことが家賃を払い、俺を生かす生命維持装置になった
だからこそ、俺はこの業界でこのアートを極めて真剣に受け止めているんだ
いろんなクルーが俺に触れよう(挑んでこよう)とするが
俺は「美しいもの」を引っ提げてやって来て、このトラックを贅沢に祝福する
世界中をツアーで飛び回り、群衆は俺を愛してくれる
お前ら全員からの拍手喝采を受け取る者
レコード屋に並ぶ「オリジナルなサウンド」の創造者
お前らはそれを家に持ち帰り、吸収し、毛穴から汗として滲み出させるんだ
さて、この血管を流れる音楽を、一体誰が止められるというんだ?
無限に、時代の流れ(木目)に逆らって進み続ける
だからこそ、俺のモットーはこうなんだ
Never do what they do, what they do, what they do
Never do what they do, what they do, what they do
奴らがやっているようなことは、絶対にやるな、絶対に
奴らの真似だけは、絶対にするな、絶対に
★ ツアー生活の現実とフィラデルフィアの誇り
Livin the life of limos and lights
Airplanes and trains
Short days and long nights
Keyboards and mics
Bass chords and drum kicks
When I first spark the arts, when the listenin start
Open your head wide, and let the Thought inside
My style fortified by all of Philadel-phi
I've dealt more stealth than all the wicked weal-thy
Mentality undetectable by the naked eye
Then I get paid when the record is played
To put it short "I want it made" like Ed, nuff said
Then after that, I'm puttin on my cousin Hamed
We let the ladies blend with the darkskin thoroughbred
And discover, my level is that of no other
And Roots crew reign official and true while I'm continuin to...
(Raphael Saadiq & Black Thought)
Never do what they do, what they do, what they do...
Never do what they do, what they do, what they do...
リムジンとスポットライトに囲まれた人生を生きる
飛行機と列車の移動
短い昼と、終わらない長い夜
キーボードとマイク
ベースのコードと、ドラムのキック
俺が最初にアートに火をつけ、リスナーが聴き始めた時
お前の頭を大きく開いて、この「Thought(思考/ブラック・ソート)」を中に入れな
俺のスタイルは、フィラデルフィアの全てによって要塞化(強化)されている
俺は邪悪な金持ちどもよりも、遥かに密かに(ステルスで)事を進めてきたんだ
肉眼では感知できないほどの高次な精神性(メンタリティ)でな
そして、レコードが再生された時に俺は正当な対価を得る
手短に言えば、Edみたいに「成功を掴みたい(I want it made)」ってことだ、もう十分だろ
その後には、俺のいとこのHamedをフックアップする
黒い肌のサラブレッドたちと、レディーたちを交わらせる
そして気づくはずだ、俺のレベルは他の誰とも違うってことに
The Rootsクルーは、公式かつ真の王者として君臨し続ける、そして俺はこれからもずっと…
(ラファエル・サディーク & ブラック・ソート)
奴らの真似だけは、絶対にしない、絶対に…
奴らの真似だけは、絶対にしない、絶対に…
1996年のメインストリーム化
1996年、ヒップホップ業界では莫大な予算を投じたミュージックビデオがMTVを席巻し、「Big Willie Style」や「Shiny Suit Era(派手なスーツの時代)」と呼ばれるトレンドが形成されていた。ラッパーたちはストリートの現実や社会問題を語る代弁者としての役割から離れ、高級シャンパン(モエ・エ・シャンドン)、レンタルした豪邸やスポーツカー、そして露出度の高い女性たちを映像に配置することで、自動的にレコード売上を確保するという「定型化された公式」に依存するようになっていた。The Rootsは、フィラデルフィアという独自のブラック・ミュージックの歴史(フィリー・ソウル)とタフな労働者階級のメンタリティを持つ都市をレペゼントする立場から、こうしたカルチャーの空洞化に強い危機感を抱いていた。
フィラデルフィア・シーン
The Rootsは1987年にクリエイティブ・アンド・パフォーミング・アーツ高校で出会ったTariq "Black Thought" TrotterとAhmir "Questlove" Thompsonによって結成された。彼らは、サンプリング主体のヒップホップ制作が主流だった時代に、生楽器を用いたオーガニックなバンド・アンサンブルを持ち込み、A Tribe Called QuestやDe La Soulに連なる「Native Tongues」的なオルタナティブ・ラップの正統な後継者として評価を確立していた。『Illadelph Halflife』に至り、彼らはより暗く、より硬質で、ストリートの現実を反映したサウンドスケープへと進化。このアルバムでの成功が、後のD'Angelo、Erykah Badu、J Dillaらと共に形成することになるネオ・ソウル・ムーブメント「Soulquarians」の布石となった。
キーワード解説
制作秘話 01
Charles Stone IIIが監督した「What They Do」のミュージックビデオは、当時のメインストリーム・ヒップホップのミュージックビデオに蔓延していた虚飾を徹底的にパロディ化し、業界内部に巨大な波紋を呼んだ。映像は「ラップ・ビデオ・マニュアル」というメタ的な視点を取り入れ、プールサイドでの露出度の高い女性たちのシーン(「悪名高いマネー・ショット」と説明)から、高級シャンパンが「実はジンジャーエール」であることの暴露、さらには「ビデオのルックその7:意味もなく集まる人々」というキャプション付けまで、業界の裏側を直接的かつユーモアに満ちた形で暴露した。
制作秘話 02
楽曲の核となるフックとプロデュースには、元Tony! Toni! Toné!のメンバーで、D'AngeloやErykah Baduらとの仕事でネオ・ソウル・ムーブメントを牽引することになる天才プロデューサー兼マルチプレイヤー、Raphael Saadiqが起用された。彼の滑らかで洗練されたボーカル・フックとベースライン、そしてSpankyによるWes Montgomeryを彷彿とさせるジャジーなギターワークが組み合わさることで、楽曲はBlack Thoughtの攻撃的なリリックとは裏腹に、極めてメロウで豊かなソウルの響きを獲得した。この「音楽的対比の美学」が、The Rootsの最大の武器となった。
制作秘話 03
『Illadelph Halflife』のサウンドは、The Rootsが導入した「セルフ・サンプリング」という極めて革新的な手法により完成させられた。これは、スタジオで演奏した生楽器の音源を一度録音した後、それをまるで古いレコードから抜き出したかのようにサンプラー(MPCやASR-10)に取り込み、細かく切り刻み、再構築するというプロセスである。この手法により、彼らは伝統的なヒップホップ・サンプリング特有の「グリット感」や「硬さ」と、生楽器ならではの豊潤なグルーヴを見事に融合させることに成功した。エンジニアのKeloと伝説的なミキサーBob Powerの存在もこのサウンド進化を決定づけ、太く滑らかなベースラインと、クリアで輪郭のある中高音域が完璧なバランスで共存する極上の音響体験を実現した。
後世への影響
「What They Do」は単なる1990年代のクラシック・ラップ・ソングではない。それは、ヒップホップという文化が巨大な資本と商業主義に完全に飲み込まれそうになった瞬間に放たれた、アーティストの魂の防波堤であった。Black Thoughtの恐るべき言語的知性と、Questlove率いるバンドの生々しい音楽的ダイナミズム、そしてRaphael Saadiqの芳醇なソウルが三位一体となり、「商業的なクリシェに頼らなくとも、圧倒的なクオリティと美しさで大衆を熱狂させることができる」という事実を歴史に刻み込んだ。
The Roots
Philadelphia, Pennsylvania · 1987–
フィラデルフィア出身のライブバンドスタイルのヒップホップグループ。Black ThoughtとQuestloveを中心に、生演奏とリリックの深みでジャンルを超えた評価を得る。現在はNBCの深夜番組「Tonight Show」のハウスバンド。